恋なんて言えるほど綺麗なものじゃなかったけど、
たった一言、「かわいい」
それすら言えなかった。こんなに簡単な一言すら言えずに終わった。ぎゅっと抱きしめて、頭をナデナデして、「かわいい」
できるだけ感情を込めての「かわいい」
言えなかった。
もう二度と会えないのに。最後のチャンスだったのに。
どうして言えなかった?
いつもそうだ、言いたいことが言えない。言えないで終わってしまってから、後で後悔する。
もう一生会うこともないのに。
自分の気持ち、全然伝えることができなかった。
私は最後まで「何考えてんだかわかんない奴だった」
後悔しても、もうどうにもできない。もう遅い、手遅れ、後の祭り。
結末は想像どおりだった。
「もしかしたら‥」なんて、馬鹿みたいに自分に都合のいい妄想ストーリは、あっけなくドアをパタンとしめた。
ほんとうにあっさり終わってしまった。
わかっていたけど、自分が一番わかっていたけど、やっぱり現実は甘くない。
そんな漫画や小説みたいな展開になんてならない。妄想はいつまでも妄想だ。
わかっていたけど、それでも夢をみていた。夢をみていた間は幸せだった。馬鹿みたいな妄想でも幸せだった。
でもやっぱり目が覚めると辛い。
もう二度と夢はみれない。
思い出したってしょうがない、辛くなるだけ、切なくなるだけ。
恋なんて言えるほど綺麗なものじゃなかったけど、フラレルことすらできなかったけど、それでも‥。
私好きになってたんだ。私好きだったんだ。
「愚かな奴‥」みんなそう思うだろう。
それでも大好きでした。
「寂しかっただけでしょう?」
「誰でも良かったんでしょう?」
そうかもしれないし、そうなんだろうけど。
でも大好きでした。
もっと素直になればよかった。もっと甘えたかった。「かわいい」って言って頭をナデナデしたかった。もっとぎゅっと抱きしめたかった。体温を感じたかった。
もう終了です。